仲介手数料の仕組みや計算方法を、事例を交えてわかりやすく解説します。また、手数料に関する悪徳な手法があることもお話ししましょう。まずは、仲介手数料にはいくつかの決まり事や注意点があります。このポイントを押さえておきます。
それ以外の費用として、次のような条件が揃った場合には例外的に別途請求できるとされています。
仲介手数料の算定の方法を解説します。まず、上限の規定は次の通りとなります。
また簡易計算法として次の方法もあります。
こうしてみると、意外に高くつくことがわかりますね。実際の仲介手数料は上限以内で業者が決定します。その差の部分が交渉値引きの余地部分となりますので、手数料については業者としっかり話し合いましょう。
業者によっては安いことをアピールしているところもありますが、広告や案内にかかる交通費などのサービスが受けられないことがあります。
また、意外に知られていない慣習として「両手仲介」があります。売主と買主の双方から手数料を取るやり方で、区別して「片手仲介」と呼ばれる方法もあります。
実例を基に解説しましょう。
例)5000万円の物件の売却の場合(仲介手数料上限約156万円)
売主→(156万円)→A不動産⇒(紹介)⇒B不動産←(156万円)←買主
売主→(156万円)→A不動産←(156万円)←買主
片手仲介では、A不動産とB不動産がそれぞれ156万円受け取るのに対して、両手仲介ではA不動産が312万円を受け取るということになります。そのため、意図的に他の業者への斡旋を控えたり販売活動をしないなどのケースや、早く自社直販で売りたいがあまり、売値を下げようとするなどの行為が起こってしまう可能性があります。
こういった不安がないのが、不動産業者との直接買取でしょう。これなら不正な販売を防ぎ適正価格で売却できるだけでなく、不動産業者から売主へ手数料が支払われることになり、結果的により高い収入となることもあるのです。
片手仲介とは、売主と購入者の双方がそれぞれ別の不動産業者を代理人とすることです。つまり片手仲介の場合、不動産業者は、売主か購入者か、片方の仲介手数料のみを手に入れることになります。
それに対し、両手仲介とは、売主と購入者が同じ不動産業者に仲介を依頼することです。この場合、不動産業者は売主と購入者の双方から仲介手数料を得ることになります。
片手仲介 | 両手仲介 | |
メリット | 購入者の選択肢が多く高く売りやすい 購入者が見つかりやすく早く売りやすい 交渉でこちら側のメリットを優先してもらいやすい |
仲介手数料の値引き交渉がしやすい 積極的に購入者を探してくれやすい 一つの業者を通して交渉がスムーズに進みやすい |
デメリット | 熱心に対応してもらえない場合も 交渉事がまとまりにくくなることも |
好条件の購入者を逃す可能性がある 価格交渉で売主が妥協を迫られやすい |
購入者の選択肢が多く不動産を高く売りやすい
片手仲介の場合、多くの不動産業者から購入者を募ることになるので、より高い金額を提示してくれる購入者を見つけやすくなります。
購入者が見つかりやすく不動産を早く売りやすい
片手仲介の場合は、購入者の選択肢が多い分、早く不動産を売りやすくなるということもメリットです。両手仲介の場合、1社で探すため購入者自体が見つかりにくく時間がかかることもあります。
交渉でこちら側のメリットを優先してもらいやすい
両手仲介の場合、不動産業者は、売主と購入者双方のメリットを考えなくてはならないため、利害が対立するとき、不動産業者が必ずしも自分の立場に立ってくれるとは限りません。しかし、片手仲介の場合は、不動産業者にとっての客はこちら側だけなので、こちらのメリットを優先してくれることが多いです。
不動産業者の対応が良くないことも
不動産業者にとっては、片手仲介は両手仲介の場合より利益が少ないということもあり、仲介料の金額が低いと熱心に対応してもらえず、交渉の際に不利になってしまうこともあります。
交渉事がまとまりにくい
購入者と金額や条件を交渉する際、自分の不動産業者から相手の不動産業者、さらに購入者というふうに、間に二つ業者を介しますので、話が伝わるのがやや遅いと感じることもあるかもしれません。また、それぞれの利害が対立したとき、話をまとめるのが難しくなる場合もあります。
仲介料が大きいため仲介手数料の値引き交渉がしやすい
両手仲介の場合、不動産業者は片手仲介の場合の2倍の仲介料を手にすることになりますので、仲介手数料の値引きに応じることがよくあります。
利益が大きいため積極的に購入者を探してくれやすい
両手仲介は不動産業者に大きなメリットがありますので、不動産業者のモチベーションが高まり、購入者をより熱心に探してくれることが多いです。
一つの業者を通して交渉がスムーズに進みやすい
両手仲介では、仲介する不動産業者が購入者と同じなので、間に二つ業者を介する片手仲介の場合と比べて交渉事がスムーズに運びやすくなります。
より良い条件の購入者を逃す可能性がある
広い範囲で購入者を募ることができる片手仲介と比較して、購入者の選択肢が減るので、本当はもっと良い条件の購入者がいるのに、それを逃してしまうことがあり得ます。
価格交渉で売主が妥協を迫られやすい
両手仲介の場合、不動産業者はとにかく話をまとめたがることが多く、購入者が価格交渉を行った場合、売主が妥協を迫られやすい傾向があります。そのため、期待よりも安い価格で不動産を売却せざるを得なくなる場合もあり得ます。
不動産売却をする時「出来れば高く売りたい」というのが売り主の本音だと思います。購入希望者と売り主は、価格交渉をすることはできるのでしょうか。
不動産を売却する時、購入希望者が現れると不動産会社を通して「買付証明書」が提示されます。
一般的にはほとんどの場合そうだと思いますが、住宅・不動産会社などを介する取引の場合、まずは購入希望者から不動産物件の売り主に対して購入希望の意思を表示する必要があり、その意思を書面にしたものが「買付証明書」です。
購入希望額、代金の支払い条件、引き渡し希望日といった購入希望者側が望む条件が買付証明書には記載されています。その買付証明書をもとに、具体的な交渉に入るかどうかを売り主が決め、その後交渉が行われます。
ここの交渉の部分で価格交渉が可能か否かという点について、もう少し詳しく見ていきましょう。
通常、売り主側と購入希望者それぞれの不動産会社が窓口となって、交渉が行われます。交渉ですから、どちらかの希望がすべて通るということは基本的にありません。売り主、購入希望者双方の希望条件を確認し、お互いの希望条件を調整していきます。
この時、不動産会社側からさまざまなアドバイスがされたり、購入希望者から強気の希望が出されたりすることもありますが、迷いがある場合はそういった言葉に流されることなく、よく検討して自分が納得できると判断できるまで慎重に判断しましょう。
不動産売却をするのですから、やはり一番気になるのは価格だと思います。相場感があまりない状態で自分たちが設定した価格が適正かどうか、不動産会社に市場の動向やエリアの相場などを聞きながら、よく検討する必要があります。
価格交渉でよくある事例としては、例えば家に傷みがあった場合、修繕を行わないまま現状引き渡しにする代わりに、売却額を下げるといった形で対応することも。逆に、リフォームを済ませて新築同様にして、売値をアップさせるという手法をとる売り主もいます。
このあたりは、売り主サイドの考え方次第ですので、家族でよく話し合って方向性を決めるといいでしょう。
不動産売却時、不動産屋さんを通すのが一般的な流れとなります。
売却依頼を出したタイミングで、料金を支払う必要があると思われている方も多いのですが、実際には仲介手数料というものは、売買契約が成立した時に初めて発生するもの。
売買契約が成立するまでは、相談に乗ってもらったり、情報を掲載してもらっても費用は発生しません。売買契約が成立して初めて、不動産会社の仲介手数料の請求権が生じるのです。俗にいう「成功報酬」というシステムになります。
では、気になる仲介手数料はいくら位に設定されているのでしょうか。
不動産仲介手数料には、上限が設けられています。その上限を超えた額の仲介手数料を不動産会社が受け取ることは、法令違反となります。上限は売却額により異なるので、注意が必要です。
いずれも、税金は含まれていません。
では、上限額以内でいくらくらいを支払うのが妥当なのか、気になるところですよね。現在、ほとんどの不動産会社では上限いっぱいの額を仲介手数料として請求してくるケースが多いようです。ここで、売り主側に知識があれば、不動産会社と交渉することも可能です。
具体的な報酬額については、仲介してもらった時の対応や内容を考慮の上、売り主と協議して決めるというのが基本的なスタンスなのです。
不動産売却は、人生でそう何度も経験することではありません。よって、ほとんどの人たちが初めての経験であり、さまざまな決まり事を知らない状態にあります。でも、少し情報収集をすれば、さまざまな知識を得ることが可能です。
スムーズな不動産売却のために、こうした仕組みを知っておきましょう。